一般症例2 肩が上がらない
肩関節周囲炎・四十肩・五十肩
肩が上がらなくなり、痛みが強いという事で当院に来院されたDさん
顔に手を持ってくる事も困難な状態という事で、かなり苦労されていました
痛みも強く、辛い状態なのですが、家事、介護があり休めないとの事
本当は休みが取れると回復が早いのですが、理由が理由だけに仕方ありません
何とか毎日を務めながら治していく事、その代わり時間がかかる事をお伝えします
まずは肩の可動域(どれくらい動けるのか)を見ていきます
挙上(前方に上げる)は90度、肘が肩を越えません
外旋(外に捻る)は挙上が出来ないため、殆ど動けない状況
内旋(内に捻る、結帯動作)は腰に手を回せない
外転(横から上げる)は90度~100度、肩を越えるか越えないかです
内転(反対の肩を触る)は肘が正中線(体の中央)を越えません
自覚症状としては、肩を動かせないだけでなく
夜中、痛みで目が覚める(夜間痛)
物が持てない、重いものを持つと痛みで離してしまう
洗濯ものが干せない、などの症状で困っておられます
但し、普段うずくような痛みはなく、動かさなければ痛みは出ないとの事
患部の熱感もなく、どちらかというと皮膚温は低く冷たい状態
うずくような痛みがあったり皮膚温が高いと、炎症が疑われる為
痛み止めや注射の処置を整形外科で並行していただく必要があります
その場合、近所の整形外科にお願いする事もありますが
状況から、今回はその必要はなさそうです
その為、リハビリで様子を見ながら行く事になりました
1回目の治療後、腕が顔を越えるくらいまで上げられるようになったDさんですが
数日するとすぐ元に戻ってしまいます
これは、深部の筋肉組織までアプローチできていないので、動きが元に戻ってしまう為です
しかし、表面(浅層)の痛みが強いため、まずそれを解決しないと深部の治療が出来ません
無理やり深部を治療しようとすると、体に無理が掛かり強い痛みを誘発してしまい
ます
その為、ある程度痛みが減ってくるまで浅い組織の治療を継続
週2~3回の治療で早い人で2週間、ひどい人で1ヵ月~1ヵ月半程度で
状態が落ち着いてきます
Dさんの場合も1ヵ月以上かかりましたが、腕の動きが良くなってきました
挙上は150度、内外旋運動も少しずつ動けるようになりました
痛みが落ち着いてきたら深部の治療に移行していきます
2カ月目、腕も高く上げられるようになり、洗濯ものが干せる!
と喜んでいただいたDさん
ただ、どうしても外旋内旋動作の際に動けない角度があります
これは、痛みで動かせない時期が長かったため
筋力が落ち、自分で動かせなくなってしまったためです
これはトレーニングをすることで
筋力が戻り、元の動きに戻っていくことが出来ます
逆に、トレーニングをせず治療しているといつまでたっても戻りません
トレーニングは野球選手が良く行う腱板(インナーマッスル)トレーニングです
ゴムチューブで行う方法もありますが、当院ではダンベルを使ったものを教えています
一般の方なら500g、ペットボトルに水を入れたもので行っていただきます
スポーツマンだと1kg~2kgです
ベンチプレス3ケタの方でも、良いフォームで行えば2㎏で十分です
腱板トレーニングはフォームが非常に大事なので
良く分かっている先生に教わる事が大事
結局、Dさんの場合は2カ月半ほどの期間、週2回の通院が必要でしたが
トレーニングを積極的にして頂けたので、治療卒業となりました
肩関節周囲炎は治療に時間が掛かりますが、適切に治療を行えば治る方も大勢いらっしゃいます
是非諦めないで治療に来ていただきたいと思います